今回のテーマは「賃貸住宅と老化」についてです。
こんにちは。ぽへです◆
今回は気になる記事があったので自分の知見と併せて紹介します!◆
すごいタイトルですね、早く引っ越します...。
見習いたい、そのフットワークの軽さ...!笑
よろしければ、最後までご覧ください。
さて、今回のクイズはこちら!
Q. 生物学的に老化しやすい住環境とは?
この記事を読めばきっと答えられると思いますので、ぜひ探してみてください!◆
賃貸の何が原因なんだ...?💦
「賃貸住宅で暮らす」ほうが老化が早い?
私が先日見つけた記事がこちら。
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タイトルにひかれて読んでしまいました。
記事の要旨はこんな感じでしょうか。
- 老化には「暦年齢」と「生物学的年齢」の2種類がある。
- 持ち家の人よりも賃借人が、毎年2週間半も多く老いていく。
- 賃貸に住むストレス(家賃を払えない、住居環境が悪い、引っ越しが面倒など)により、失業より100%以上、喫煙より50%以上も生物学的な老化が早まる
- 無過失での退去の廃止、賃料の値上げの制限、住居環境の改善などの住宅政策が、生物学的老化を遅らせる可能性がある。
2つの老化の違い
記事にもあるとおり、老化には「暦年齢」と「生物学的年齢」の2種類があるといわれています。まずはこの2つの年齢の違いを簡単に。
暦年齢(Chronological Age):
一般的な年齢のことです。単純に生まれてからの経過年数を指します。
例えば、ある人が1980年に生まれた場合、2023年にはその人の暦年齢は43歳になります。ほとんどの法的文書や公的な設定で使用される年齢です。
生物学的年齢(Biological Age):
個人の身体や臓器の健康状態や機能レベルを基にした年齢です。
生物学的年齢は、遺伝子、生活習慣、環境要因などによって影響を受けます。たとえば、健康的な生活を送る人は、暦年齢よりも生物学的年齢が若いと考えられますが、喫煙や不健康な生活習慣がある人は、生物学的年齢が老いていると考えられます。
➡「暦年齢」は時間の経過によって決定され、「生物学的年齢」は個人の健康状態や生活習慣によって左右されます。
※参考文献
この2つの老化をイメージするには、こちらの文献が参考になります。
タイトルの通り、
(暦上は)同じ年齢の人を大規模に集めて、一人一人の「生物学的年齢」を比較してみたら、人によって全然生物学的年齢が違ったよ💦
という研究です。
まず老化速度の分布を見てみます。
こちらのグラフは、老化速度(1年間に何歳年を取るのか?)を横軸に、属する割合を縦軸に取っています。
年相応においていくのであれば、赤線で示しているように、老化速度は1年になるはずです。(1年で1歳、年を取る)
このグラフを見るに、以下のポイントがわかります。
- 人によって老化スピードが大きく異なる!
- 多くの人は1年間で、約1歳老化する!
- ただし1年間で、0.5歳しか老化しない人、もしくは2歳以上老化してしまう人がいる!
下の図は、論文から引用した同じ45歳で「最も若く見えるイメージ」と「最も老けて見えるイメージ」の比較です。
この報告から、「暦年齢」が同じでも、「生物学的年齢」が異なると、老化の進み方が大きく異なることがわりました。
原著論文
さて前置きが長くなりましたが、記事の内容に戻ります。
記事で引用されていた文献はこちら。
「Are housing circumstances associated with faster epigenetic ageing?」(住宅状況はエピジェネティックな老化を早めるのか?)
少しずつ読み進めてみます。
まずこの研究は、エピジェネティックエージングを示すDNAメチル化という生物学的老化の速度と住宅状況との関連を調査した研究です。
詳しくは書きませんが、とりあえず
「DNAメチル化は、年齢と共に変化するため、「生物学的年齢」を推定するためによく用いられる指標」
ということだけわかっていただければ大丈夫です。
最近の研究では、社会的要因や個人の行動が、生物学的老化に影響を与えるかどうかを探る際にも用いられており、今回の研究でも同様の手法にて評価されています。
今回の研究では、イギリスの家庭を対象にした長期調査(UK Household Longitudinal Study)からのデータと、DNAのメチル化データとを組み合わせて、住宅環境と生物学的年齢の関連を調べました。
研究の結果は?
さっそく結果を見ていきます。
赤字の部分に着目してみると、以下のことがわかります。
・賃貸に住んでいると、老化が加速する可能性が高い!
・中央暖房がないと老化が少し速く進む可能性がある!
・住居形態も、生物学的老化を早める可能性がある!
もう少し別の要因でもみてみます。
この表からは、
・室温(暖房不足)や湿気に問題がある場合には、老化が進む!
・騒音や衛生面など住環境が悪いと、生物学的に老化が進む!
・引っ越しのいざこざや部屋が狭い、などは老化に影響しない!
等がわかりますね。
これらの結果から、以下のようにまとめています。
1) 賃貸住宅(私有賃貸)に住む人は、持ち家の人よりも生物学的な老化が進んでいる。(失業や喫煙よりも、与える影響が大きい)
2) 過去に家賃を滞納したことがある人、環境汚染など劣悪な住宅環境に暮らしている人なども、生物学的に早く老化している。
これらの結果をもって、この研究は、以下のように結論付けています。
①望ましくない住宅環境が健康に悪影響を与え、生物学的な老化を加速させる。
②生物学的な老化は改善可能であり、適切な住宅政策が、国民の健康を改善する可能性がある。
➡ 健康格差に対処するための政策策定において、住宅を考慮することの重要性を強調しています!
賃貸 vs 持ち家の新たな観点
一般的な「賃貸 vs 持ち家」の話は、生涯コストや身軽さ、などに終始しがちですし、
持ち家のメリット:住宅ローン完済後の住居費が抑えられること
賃貸のメリットは収入の状況などに応じて引越ししやすいこと
持ち家のデメリットはメンテナンス費や税金などがかかること
賃貸のデメリットは老後の住まいが確保できない場合があること
コスト面だけでなく、ライフスタイルも考えて自分に合うほうを選ぶことが大切
持ち家を買うのは資産運用的にはNG、などといった論調も見られます。
ただし今回の研究は、今までの持ち家のメリットとは少し異なる視点からの報告です。
新たに「健康」という軸で2つを比べるようになります。
引用した記事のタイトルからは、「賃貸 = 老化を早める」となりそうですが、あくまで賃貸やその他の住環境が生物学的な老化速度、ひいては寿命や健康の決定因子になっているということですね。(こういうことがあるので原著論文みます)
これは持ち家が良い、という考え方もできますが、そもそも「賃貸住宅」における住環境やそのサポート体制が不十分ではないか、という問題提起にもなっているのではないでしょうか。
日本は特に住宅の高性能化においては後進国ですが、今回の調査レポートはイギリスのものです。そう考えると、日本で考えた場合、この差はもっと明確になる可能性もあると、個人的には考えています。
「健康に悪いから賃貸は悪だ!」と一面を切り取って主張するのではなく、賃貸ユーザーの健康を考えた住宅の提供、ひいては既存ストックの活用などへ国や業界が舵を切るきっかけになればと、陰ながら願っています。
所感
いうまでもなく私は「持ち家」派です。
なので主観ガンガンにはなってしまいますが、家を建てて引っ越してから、ストレスというか、家に住んでて感じるストレスなどはなくなったように思います。
家は快適ですし、音などを気にすることもなくなりました。(ローンという支払いのストレスはありますが...笑)
特別意識することはないのかもしれませんが、言われてみれば確かに賃貸に住むと、家が寒かったり、気苦労が多かったりもした気がするので、結果を見ると納得です...💦
皆さんも、良い家づくりを通じて、「よい住環境づくり」を目指していただければと思います!🔶
まとめ
それでは今回の記事をまとめます!
- 賃貸に住むと老化が進みやすい、という研究結果が出た!
- その要因は、住環境に起因する因子が多いみたい!
- 「賃貸住宅」における住環境やそのサポート体制が不十分ではないか?
- 持ち家が優位というわけではなく、住環境をよくする動きを目指したい!!
以上です。
ちなみにクイズの答えは…!
A. 「暖房不足」「騒音」「結露」「家賃の支払いの遅延」など!
でした~!
こんな記事も書いています。合わせてご覧ください。
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。
◆皆さんが素敵なおうちを建てられますように...◆