◆吹付け断熱と結露 ~結露計算しましょうって話~
こんにちは。ぽへです◆
今回のテーマは「吹付け断熱」です。
お願いしている工務店の標準はGW。でも営業さんが高断熱を目指すならアクアフォームの方がいいと思います、ということでその時点では深く考えずに進めてきました。
先日、夏型結露が気になった時に大丈夫なのか質問。
今までの経験上、アクアフォームは室内側の防湿シート不要です。省略できるようになっていますので。
え、本気で言ってます?ちょっと計算してくださいお願いですから…。
という状態だったのでちょっと計算してみようかな、と思います。
合わせてあんまりわかっていなかった「アクアフォーム(日本アクア)」についてもちょっと調べたのでこちらにまとめておきます。よければご参照ください。
さて、今回のクイズはこちら!
Q. 透過率とは?「アクアフォーム®」と「アクアフォームNEO」の違いは?
この記事を読めばきっと答えられると思いますので、ぜひ探してみてください!◆
結露計算、大変だけどやっておきましょう!
住宅カンペVol.39「吹付け断熱」
今回取り上げる住宅カンペはこちら。吹付けを採用する際に見てもらいたいポイントをまとめてますのでぜひ参考にしてみてください!
今回の記事では、吹付け断熱の特徴と、採用時の結露リスクについて考えます。
※あくまで調べただけで、まだ実際に導入したわけではない点はご了承ください!
吹付け断熱とは?
『現場で発砲させるスポンジ状のウレタン系断熱材』のことですね。
グラスウール(GW)などの繊維性断熱材とは違って、現場で切るなどの工程がいらず、そのまま吹付けるだけなので施工自体の難易度は下がっているようです。そのため施工品質は一定にしやすい、と言われていますね。
吹付け断熱のメリット
吹付け断熱のメリットは次のようなものがあげられます。
① 断熱性能が高い
発泡するときに空気を含むので、断熱性能が高くなるようです。(動かない空気は熱を通しにくいため)
例えば、アクアフォームシリーズの性能は次の通りです。この表から、GWを100%とするとアクアフォームは125%、アクアフォームNEOは170%の断熱性能を持っていることがわかります。
※熱伝導率 (= Ua、W/m2・K):小さいほど断熱性能が高い
※透湿率 (ng/m・sPa):透湿抵抗の逆数で、小さいほど湿気を通さない。
断熱性能(熱伝導率)が良いと何がいいのか?
→同じ断熱性能を持つために必要な壁の厚さが薄くできる!
どういうことかというと、単純にGWの2倍の断熱性能を持っている断熱材Aがあった場合、GW 200mmと断熱材A 100mmは同じ断熱性能を持つことになります。
じゃあこれの何がいいのか?
→狭小地など、壁をあまり厚くできない場合でも十分な断熱性能が確保できる、ということが大きなメリットかと思います。
② 気密性が高い
現場で合板などに直接吹き付けて施工するため、隙間ができにくいのが特徴です。そのため、GWなどに比べて気密性能を上げやすいといわれています。
高気密な住宅ができることは歓迎なのですが、ノウハウや施工実績がなく、気密について不勉強な工務店などでもある程度の気密性能を出せるため、気密=アクアフォームとなってしまうことは避けていただきたいですね。
③ 防音にもなる
日本アクアのHPによると、スポンジ状の断熱材なので外部の騒音を吸音してくれます、のような記載がありましたが、ここはどうなんでしょうね。
ちなみに、会社の上司が「アクアフォームNEO」を使って新築しましたが、外部からの音は思ったより気にならないそうです。(ただし1~2階間の生活音は気になる、ともいっていました…)
吹付け断熱で気になるポイント
採用する場合、次のような点に注意すると自分たちが考える高断熱高気密な住宅に少しでも近づけるかと思います。
① 性能としては十分か?
これは吹付け断熱に限った話ではないのですが、工務店の標準仕様に任せてしまうと、省エネ基準やZEH基準にとどまってしまうことが多い、というのが難点です。
ちなみに私は以前、設計士とHEAT20 G1あたりを目指したい、と伝えていましたが、
この図を見て不安になりました。(日本アクアHPに記載されていたこちらの図)
この仕様だとUa値=0.60以下とのこと。
あれ、私の家の断熱は次のような形で、Ua値=0.44って言われたんですけど…?
- 屋根断熱:アクアフォームLITE 200mm
- 壁断熱:アクアフォームLITE 200mm
- 床断熱:ネオマフォーム 45mm
- 窓:APW330(アルゴンガス、ペアガラス、樹脂スペーサー)
- 玄関ドア:K2仕様
うむむ…、断熱仕様はほとんど同じなのに…?開口部はもう少し性能上がっていますし、窓面積が小さいからなんですかね?ちょっと計算してみました。
あれ、以前と計算結果が違う…?(以前は私の計算でもUa=0.46とかになっていました。)
よく確認してみると、「硬質ウレタンA種2」で計算してしまっていたようです。よくわかっていないまま計算するとこういうことが起こるんですね…。
ということはつまり、現在の我が家の断熱性能 Ua=0.56となります。
え、想定よりずっと低い。設計士とも話をして、HEAT20 G1を目指すっていう話をしていたのに。
このままではまずいと、「ウレタンA種3」→「ウレタンA種1H(NEO)」へ変更。
うーん、それでもUa=0.50。
私の建築エリアは5地域なので、G1にはUa=0.48以下が必要なのに…。
② 結露計算はクリアしているか?
これもかなーり重要なポイント!
私がお願いしている工務店が提案している「アクアフォームLITE」は分類としては、「A種3」です。
A種3とか、A種1Hとか、何が違うの?
断熱性能や透湿率が違ったりするのですが、ここで気を付けなくてはならないのは、省エネ基準の中の以下の項目です。
「透湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は、防湿層を断熱層の室内側に設ける」
※透湿抵抗の小さい断熱材とは…
①グラスウール、セルロースファイバーなど繊維系断熱材
②吹付け硬質ウレタンフォームのうち、A種3に該当するもの
このような記載があるので、「アクアフォーム LITE」は原則防湿シートの施工が必要なんですね。
しかしこの話を設計士にしてみたところ、こんなことも書いてあるようです。
温暖な地域では、透湿抵抗比の計算又は一次元定常計算による防露性能の確認計算によって防湿層の設置を省略できる。
ええ?どっち…?
結局いらないんじゃない、と押し切られそうになったので結露計算結果を見せてほしい、という内容で話を終えました。
最近の情報だと、省略できるんだろうけどやっぱり結露計算を推奨する流れになっているのでしょうか?
結露計算してみた
今回は冬の結露計算をしてみました。(室内24℃、湿度50%)
① 「アクアフォーム LITE」
② 「アクアフォーム LITE」+「防湿シート」
③ 「アクアフォーム NEO」
④ 「アクアフォーム NEO」+「防湿シート」
この計算結果だと、吹付けウレタンだと防湿層がないと結露してしまう、という計算になりました。(あっているのかな…)
防湿層が不要とされているA種1Hでも結露してしまっているので、おそらく私の数値の入れ方が間違っているのだと思うんですけど、ちょっと不安になっています…。
※ビニルクロスの透湿抵抗値:11.9524㎡・h・mmHg/gは鳳建設さんのブログを参考にさせていただきました。
所詮初心者が計算した内容なので、設計士からの返答を待とうと思います…。
参照カンペ
結露についてはこちらのカンペにもまとめていますので合わせてごらんください!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
吹付け断熱のコスト
あくまで私の工務店と家の大きさ(総2階・延べ床30坪・屋根200mm・壁85mm)によるものなので参考までに…。
①GW→アクアフォームLITE
変更差額が約35万円でした。
単純に比較することは難しいですが、びっくりするほどコストアップというわけではないので検討の余地はあると思います。
※余談ですが、屋根断熱をウレタン175mm → 200mmに変更するときの費用を教えてください、とお願いしたら増額なしで対応していただけました。
②アクアフォームLITE→NEO
変更差額が約130万円でした。
GWからではなく、LITEからNEOへの変更価格なのでちょっと驚いています…。
今回は屋根と壁の変更をお願いしましたが、以下のとおりメーカーHPでもアクアフォームとNEOを使い分けている仕様もあるので、壁のみ変更した場合の見積もお願いしてみようとも思います。
まとめ
それでは今回の記事をまとめます!
- 吹付け断熱は高断熱高気密住宅には適した断熱材だと思っているよ!使い方によっては強い味方に!
- ただし断熱性能や気密性はまかせっきりではできないよ!
- 結露はとくに注意!しっかり結露計算を!
以上です。
ちなみにクイズの答えは…!
A. 透過率=湿気の通りやすさ!NEOはA種1Hで防湿層が不要になるよ!
でした~!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
◆皆さんが素敵なおうちを建てられますように...◆