◆住宅カンペブログ◆

「住宅カンペ」発信者のブログ。マイホームを手に入れるまでに勉強したことを記録していきます。多くの人が最高のお家を建てれますように◆(*´∀`*)

◆木材を乾燥させる意味 ~実は強くなるんだよ~





 

 

今回のテーマは「木材の含水率」です。

 

 

 

こんにちは。ぽへです

今回の記事では、木造住宅の中心である木材の、「含水率」についてピックアップして書いていきます!

 

 

 

木材は呼吸してますからね!適度に水をやる方がいいのかもしれません!^^

そういう御託はいいから、大引きとかにちゃんとブルーシート貼って!

 

 

含水率とは何か?

木材、ひいては住宅の耐久性などにも大きく影響してくる要素です、よければ最後までご覧ください。

 

 

 

さて、今回のクイズはこちら!

Q. JAS製材の含水率はどれくらい?

 

この記事を読めばきっと答えられると思いますので、ぜひ探してみてください!

 

 

 

 

こんなことまで施主が気にしないといけないの…?

 

 

 

 

 

住宅カンペ

今回参照する住宅カンペはこちら!

Vol.75「含水率」

 

 

 

 

含水率ってなんだ?

木材に含まれる水の割合を示す数値です。

通常は水分を含めない木材重量(全乾重量,ドライベース)に対する水分重量の割合を表す含水率を用います。

含水率の求め方

 

※ちなみに水を多く含む木材の場合、含水率は100%以上を示すこともあるようです。

参照:木材と水の関係(山崎亨史)

 

実は、木材の水分保持能力は空気の数倍にもなります!

 

というのも、

8畳の部屋(25℃)の飽和水蒸気量と、1m2のヒノキ板(厚さ4㎜)が含める水分量は同じくらいになるらしいです。(参照:外気相対湿度ともでる居室内の相対湿度 岡野健「木材のおはなし」日本規格協会,1992)

 

 

 

木材の含水量は、周りの水分量に依存して変化していきます。

これがよく聞く「無垢フローリングの隙間」などにつながるわけですね。

(初年度に湿度が高くなりやすいことにも起因している可能性はありますね…)

 


※日本での含水率は屋外で15%、屋内で12%程度と言われています。しかし 近年はエアコン設備などによって10%を切ることもあります。そのため、よりしっかり乾燥させておかないと水分の変化が大きくなってしまうことが懸念されます。

 

 

 

繊維飽和点とは?

伐採した木を乾燥させると、まず自由水が蒸発して消失した後、結合水の蒸発が起こります。自由水が全くなくなった点を「繊維飽和点」といいます。

繊維飽和点での含水率は樹種によらず、おおよそ28〜30%程度のようですね。

 

 

わかりやすいよう、以下のような図にしてみます。

木材の含水量と繊維飽和点

 

木材の性質はこの「繊維飽和点」を境に大きく変化します。

 

繊維飽和点に達するまでは、どれだけ自由水が蒸発しても木材の性質には変化は現れません。一方で、結合水が蒸発し始めた時点から、木材の性質は変わっていきます。

 

隙間の水(自由水)は木材の性質に影響はないが、繊維中の水(結合水)の変化は木材そのものに大きく影響するわけですね。

 

ちなみに建築後数年経過した木造住宅における部材の含水率は、おおよそ10%~20%です。(木材の収縮は、含水率が約30%以下になってから生じるため、未乾燥材を使用した場合は、建築後に収縮による寸法変化が生じることになります)

 

 

(以下のサイトなどを参照しました)

www.mokuzai.com

 

 

 

 

 

含水率が低いと何がいいの?

収縮・膨潤,重さ,強度,耐久性など,様々な面において水分が影響しています!例を挙げてみていきましょう。

 

1.ヒビや隙間の発生を防ぐ

前もって十分に乾燥させておくことで、過度な収縮を抑制し、床の隙間や影のひびなどを軽減することができます。また寸法などの狂いも非常に小さくなるので、結果として住宅の耐久性も木材自体の強度も上がることが期待されます。

 

もしきちんと乾燥しきれていない木材を使った場合には、狂いや割れが生じやすくなったり、本来木材が発揮できるはずの強度が活かせないというデメリットが生じることになります。

 

 

 

2.重量が軽くなる

含水率が30%→20%に変化するだけで、木材の重量も大きく変わってきます。

こうなると、重量が軽い分運搬も容易になりますし、施工現場での取り扱いも楽になります。

 

 

 

3.腐朽を防止する

乾燥することで、腐りにくく(微生物によって分解されにくく)なります。

また水分を好むシロアリの対策にもなるようです。

 

通常、繊維飽和点以下では菌は活動できません

<木材腐朽菌が好む条件>

  • 温度:特に30℃前後が適している
  • 水分:湿度が85%以上、含水率が25%〜150%
  • 空気:生息には酸素が必須
  • 栄養:木材の主成分であるセルロースなど

 

木材腐朽菌は他の生物と同様、繁殖するには適度な水分を必要とします。木材の含水率が繊維飽和点以下(自由水がない状態)の場合、もしくは逆に水分が多すぎる場合では菌は増殖しません。

 

→これは、腐朽菌が好気性で酸素を必要としているためです。貯木場で水に浸かっている木が腐らなかったり、数百年もの間、土中に埋まっていた木材が、少しも腐朽菌の被害を受けていないことが珍しくなかったりするのも、酸素の供給が遮断されているためです。

 

 

4.強度性能が向上する

木材は乾燥することによって,軽くなるだけではなく,強さなどの力学的性質が強くなるそうです。

 

繊維飽和点以下では多くの強度性能が含水率の減少とともに増加します。

 

含水率が繊維飽和点以下になると強度が大きく向上する
(参照:https://www.mokuzai.com/LearningWood/in_di-62

 

含水率が低下するにつれて動的ヤング率(材のたわみにくさの指標)が増加する
(参照:三重県|林業研究所:木材乾燥と強度性能

 

身近な例で行くと、水分の多い生枝を曲げると簡単にたわみますが,枯れ枝を曲げるには比較的力が要るように、乾燥すると曲げにくくなりますよね。

 

 

よく「重ければ強い」と思っている方もいるようですが、木材に関してはそれは当てはまらないことを覚えておくといいですね。^^

 

 

 

また「一般社団法人 全国木材組合連合会」にて、こんな試験も実施されているようです。

構造用製材の含水率の差異が接合部の耐力にもたらす影響の検証
https://www.zenmoku.jp/news/doc/20220331.pdf

 

この試験では、降伏耐力及び終局耐力については有意差が無いものの、ボルト接合の降伏耐力及び終局耐力については、明らかにKD20-25が低い値となっていました。

(=含水率が高い部材において、接合部の耐力が低下するという結果に)

 

 

5.加工性が高まる

接着剤やクロス、塗装、漆喰などのノリがよくなる、ということも言われているようです。

 

 

 

 

含水率のルールは?

建築関連法規の中で、どんな取り決めがされているのでしょうか?

 

① 公共建築物工事標準仕様書における(在来住宅の)木工事の材料

建築工事の木材に求められる含水率は次のようです。

公共の建築物の建築工事に使用する材料の規定

 

 

②「木造計画・設計基準」(国土交通省

■    製材の規格

 原則としてJASに適合するもの又は国土交通大臣の指定を受けたものとする。

 

■    製材の品質

 製材は、建築基準法第37 条及び平12 建告第1446 号において指定建築材料とされていないため、仕様規定に定めがある場合(建築基準法施行令第46 条第2項等)を除き、法令上は構造耐力上主要な部分に用いる製材をJAS に適合させる必要はないが、

構造耐力上主要な部分に用いる製材として一定の品質を確保する観点から、原則として、製材を用いる場合は製材のJAS に適合する木材(JAS に規定する含水率表示SD15 又は20)又は国土交通大臣の指定を受けたもの(SD20 以下)を用いる。

 

 

JAS製材

JAS製材の含水率は20%以下、集成材は15%以下と規定されており、これによって建築後の不具合を防ぐことができます。

 

我が家もJAS製材が使われているのかな?

JAS認証を受けた部材を使っています

 

「強度等級」:E65-F255なので、こちらのページにある強度範囲だと最低ランクですね…。( ;∀;)

 

樹種による強度の違い
参照:(https://www.web-housing.jp/quality/safety/syuseizai/index.html

 

 

こちらのページが参考になりました!

▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽

「Ⅱ 木材利用に係る基本事項」

https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/kokyokenchiku/mokuzai/guideline.files/0084_20181003.pdf

 

▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽

test.jlira.jp

 

 

 

我が家の構造部材を見てみる

ちなみに我が家の構造部材はこんな感じでした。

SUBLIMEHOMEの構造部材

 

KD材(Kiln Dry Wood)

→人工乾燥木材のこと。以下のように分類されています。

  • D25(含水率25%以下)
  • D20(含水率20%以下)
  • D15(含水率15%以下) 

※一般的にKD材と言われているものは「D25」を指すらしいです。

エンジニアリングウッド

工学的な手法で強度性能を保証する木質建材。簡単に言うと「合板」のこと。

  • 機械等級区分製材

ヤング率や曲げ強度といった強度特性を評価して、強度特性を表示する。この時、含水率がきちんと管理されていないと強度の保証はできないため乾燥材であることは最低の条件となります。

  • 接着剤や積層接着などによる再構成

「構造用集成材」:ひき板を何枚も積み重ねた合板

「構造用単板積層材(LVL)」:単材(ベニヤ)を何層にも積み重ねた合板

「OSB」:短冊状の切片を強度が出るように積み重ねた合板

 

構造用木質材料では、ばらつきが少なく、計算可能な強度が保証できることに加えて、製材では不可能な長さや幅の材をつくることができます。

参照:(https://www.nishigaki-lumber.co.jp/site/wp-content/uploads/2018/06/37bd9c3e0657182003163a974c8ca094.pdf)

G材(グリーン材)

→乾燥処理が施されていない未乾燥の製材。乾燥工程を経ていないため、コストは安い。しかし含水率が高いため、家が建ってから収縮などによるヒビなどの可能性が残ります!

ホワイトウッドソリッドはホワイトウッドの集成材のようです。ホワイトウッド、強度にばらつきが大きい樹種のようなので杉などの方が望ましいのかもしれません。

 

 

 

母屋や小屋束、垂木にグリーン材が使われていました…。( ;∀;)

一部だけ使うことにいったいどんなメリットが…?

 

 

ここは工務店にも見解を確認してみたいと思います…!



 

 

 

含水率が高いとどうなるの?

水分を多く含んだままの木材を使ってしまうと、施工後に膨らんで反ってしまったり、逆に隙間があいてしまったりという現象を引き起こす一因となります。

また壁の亀裂や引き戸が閉まらなくなるなど、木材を充分に乾燥しないまま使用したために収縮や反りが生じている事例も見られます。

 

 

柱や床材が水分を含んでしまっているため、屋根裏や壁内の湿度が高い状態になります。

通気されていてしばらくしたら乾燥するならいいんですが、通気がしっかりできない構造だと、カビや老朽化の原因にもなります。

 

 

(床下のカビなどもこれのケースが多いのでは…?)

「床下 カビ」のGoogle検索結果

 

 

通常時さえ屋根裏や床下は多湿な空間なので、建築時に余計な水分を持ち組むことは避けたいですよね。

 

また先述の通り、強度も劣ってしまうので設計時点の耐久が保証されるかも安心できません。

 

 

このような事態にならないためにも、建築資材を屋外に置くときは、濡れることのないように覆いをしておくことが望ましいです。

うちは基礎と床部分が養生されていました^^

 

皆さんの依頼する工務店の建築現場を見る機会があったらこういう点も見ておくといいかもですね。

 

こういったいい加減なことをされると気持ちよく住めないですし…。

雨天時に避けたい養生

 

 

ちなみに(一財)日本木材総合情報センターのページではこのように書かれています。

www.jawic.or.jp

雨などで濡れた場合、製材品では、表面がある程度濡れているような状態のときは、内部の含水率はそれほど上がっていませんので建前の前後の施工期間中にほぼ乾燥してしまい、まず問題はありません。

長期間でかなり内部まで含水率が高くなったときは、現場で桟積し、元の状態まで乾燥してから使用することが望まれます。気温の高い時期では部分的にかびが発生し変色することもありますが、腐朽と違ってかびは表面だけなので、材が乾燥すればとくに問題はないでしょう。

 

 

うーん、そうはいっても施主としては気になります…。

 

濡れても問題ない、という認識ではなく、

「濡れないように努力したが、濡れた場合は適切に対処できる」という施工品質であってほしいです。

 

 

 

 

まとめ

それでは今回の記事をまとめます!

☆POINT☆
  • 含水率とは木材が含む水の割合!住宅の耐久性に大きくかかわる因子!一度は気にしてみてね!
  • 含水率は繊維飽和量を下回ることが重要!
  • 含水率が低いほど木材の強度は高くなる!
  • 工事中になるべく木材が濡れないように対応してほしい!

以上です。

 

 

 

ちなみにクイズの答えは…!

A. 20%以下!「木造計画・設計基準」で原則使用するよう規定されている!

でした~!

 

 

 

こんな記事も書いています。合わせてご覧ください。

▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽

pohe-homecampe.hateblo.jp

 

pohe-homecampe.hateblo.jp

 

 

 

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

 

皆さんが素敵なおうちを建てられますように...