◆住宅カンペブログ◆

「住宅カンペ」発信者のブログ。マイホームを手に入れるまでに勉強したことを記録していきます。多くの人が最高のお家を建てれますように◆(*´∀`*)

◆空気線図と温熱 ~温熱教室2021ダイジェスト②~

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こんにちは。ぽへです

今回のテーマは「空気線図」です。

 

 

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「温熱教室2021ダイジェスト」のダイジェスト記事を書いています。まだご覧になっていない方はぜひこちらからご覧ください!

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pohe-homecampe.hateblo.jp

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夏の場合は「夏型結露」、「除湿」。これから寒くなるにつれて「加湿」、「乾燥」、「結露」などのワードが聞こえてきそうですね…!

 

温度や湿度のような空気のことってなんとなくわかっていても、実際どれくらいの温度・湿度が適切なのかはなかなかわかりにくいですよね。

それを見えるようにしてくれるのが「空気図」です!

 

 

ぽへさん、空気線図なんて勉強しなくても大丈夫ですよ!私の経験上、結露はしていないので心配ないですって!

それが心配だからこうやって勉強しているんです!趣味でやっているのでお構いなく…!笑

※架空のやり取りです

 

 

確かに施主の方々が空気線図を読み取れる必要性はないかもしれません…^^;

あくまで「勉強」としてご覧ください。

 

 

 

さて、今回のクイズはこちら!

Q. 「顕熱」「潜熱」のうち、温度と湿度が変化するのはどっち?

 

この記事を読めばきっと答えられると思いますので、ぜひ探してみてください!

 

 

 

 

 

プロはこんなことも計算してるんですね…すごい!

 

 

空気線図とは?

『不飽和空気ではつかみにくい乾球温度や相対湿度、絶対湿度、 比エンタルピーなどの相互関係を比較対照して線図にしたもの』のことです。

水平軸が絶対湿度、垂直軸が乾球温度、左上から右下への水平線が比エンタルピーとすると、曲線は相対湿度を表しています。

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空気図

 

私も含め、この書き方では全然伝わらないですよね…。

※この書き方でわかる方は、これ以降読み進めなくて大丈夫だと思います…

 

 

 

まずは空気線図を理解するために必要なキーワードから始めましょう!

 

キーワード
  • 乾球温度(℃):一般的に言われる気温。
  • 相対湿度(%):その温度の空気に入る最大の水蒸気量のうちの何%が入っているかを示す割合。
  • 絶対湿度(kg/kgまたはg/m3):空気中に含まれる水蒸気量の重量。
  • 潜熱:状態変化(相変化)する際に必要とする熱。(潜熱変化:除湿冷房など水分量(絶対湿度)の変化を伴う温度変化)
  • 顕熱:温度変化を伴う熱。(顕熱変化:暖房など水分量の変化を伴わない温度変化
  • 比エンタルピー(kJ/kg):空気の持っているエネルギー量。

まずは「湿度」から詳しく見ていきましょう!

 

 

 

相対湿度と絶対湿度

上述の通り、湿度には2種類あります。

皆さんが一般的に目にすることが多いのは「相対湿度」かと思います。

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相対湿度のイメージ(図1)

図の例でいくと、25℃の空気には、水が入る隙間が10ヶ所あります。上の図では6ヶ所は埋まっているので、相対湿度(隙間は何割埋まっているか?) = 6/10×100 = 60%となります。これが相対湿度の考え方です。

 

 

空気は温度が高いほど水蒸気が入る隙間は増えて、温度が低いほどその隙間は少なくなります。

つまり空気中の水分量が変わらなくても、温度の上げ下げだけで相対温度は変わってしまうのです。

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温度による相対温度の変化(図2)

図2のように、水蒸気量が変わらない条件で温度を上げていくと、埋まっている隙間の数は変わらずに、最大の隙間の数は増えるため湿度は下がっていきます。

逆に、温度を下げていくと最大の隙間の数は減るので湿度は上がっていきます。

そして隙間を埋めているだけの水蒸気量も抱えきれなくなる(温度が下がりすぎる)と、余った水蒸気が水滴となります。これが結露の正体ですね。

 

 

 

また温度を変えなくても水蒸気量を増やせば相対湿度は上昇し(加湿)、水蒸気量を減らせば相対湿度は下がります(除湿)。

 

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温湿度変化による相対湿度の変化

加湿して冷却すると通常よりも高い温度で結露してしまう、というのは容易にイメージできるかと思います。

 

 

 

相対湿度は、日常的によく使われているのでなじみがあってわかりやすいのですが、空気中にどれだけの水分量があるのか、温度や湿度を変えるのにどれくらいのエネルギーが必要なのかがわかりにくいのが欠点です。

(各温度の空気が抱えてられる水蒸気量がわかっていないと水分量やエネルギーが算出できない…)

 

 

 

それを解決したのが「絶対湿度」です。

絶対温度は、空気中に含まれる水蒸気量で表すので、温度が変わって空気が抱えられる水蒸気量が変化しても湿度が変化しません。

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絶対湿度の温度変化(図3)

 

そのため、空気中の水分量がわかりやすく、空気線図でも縦軸は「絶対湿度」にしているんですね。

ただし注意が必要なのは、空気にだって比重はあるってことです。そのため比容積をかけて…といろいろするのですが書いててつまらないので割愛。

要するに、(g/m3)と(kg/kg)は数値は違ってくるよ、ということを理解してもらえれば十分です。^^

 

 

温湿度を計測する機器でも、絶対湿度で表示してくれるものもあるので、こちらを活用するのもいいかもしれません。

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みはりん坊W(A&D)
※乾燥指数となっていますが絶対湿度が表示されます

 

 

 

 

潜熱と顕熱

先ほどの図で、「加温」「加湿」と書きましたが、空気線図ではこれらを「顕熱変化」「潜熱変化」と表現します。

もう一度、潜熱と顕熱の定義を見てみましょう。

  • 潜熱状態変化(水 → 水蒸気)する際に必要とする熱

 (潜熱変化:除湿など水分量(絶対湿度)の変化を伴う温度変化)

  • 顕熱:状態変化せず、温度変化(10℃ → 25℃)に使われる熱

 (顕熱変化:暖房など水分量の変化を伴わない温度変化)

 

※空気線図では、特に 水 ⇔ 水蒸気 の変化を指すことが多いです。(下図)

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潜熱と顕熱の違い(参照:蓄熱WEB講座)

 

やや混乱してきましたが、顕熱とは単純に温度が変化するだけの「加温」「冷却」に該当し、潜熱は温度と湿度が変化する「加湿」「除湿」に該当するとお考え下さい。

例えば除湿冷房の場合は、空気の温度を下げる(顕熱)変化と、空気の湿度を下げる(潜熱)変化が起こっています。

 

 

「全熱交換」と「顕熱交換」

換気システムで第1種換気を検討されている方であれば、「全熱交換」「顕熱交換」という言葉を聞いたことがあるかと思います!

ここでいう”全熱”は『顕熱+潜熱』と思っていただければ大丈夫です。つまり、

  • 全熱交換換気:温度も湿度も熱交換するため、室内の快適な状態をそのままキープできる。夏の除湿や、冬の乾燥防止にも役立つ!
  • 顕熱交換換気:温度だけ熱交換するため、湿気や臭いはそのまま排気される。夏冬の外気との湿度の差は解消しにくい。

 

 

本項については、こちらのページを参考にさせていただきました!

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

www.hptcj.or.jp

 

 

 

 

改めて空気線図を見てみる

今までの勉強で、空気線図からどんなことが読み取れるのか見てみましょう。

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空気線図と比エンタルピー
  • 絶対湿度と乾球温度を使えば、結露する温度(露点)がわかります。
  • 比エンタルピー(空気が持っているエネルギー)は、空気線図の右上側になるほど大きくなっていきます。乾球温度を上げる、もしくは絶対湿度を上げるためにはエネルギーが必要で、つまり高温高湿な空気ほど大きなエネルギーを持っていることがわかります。
  • 潜熱と顕熱、それぞれに必要なエネルギーがわかります。

※潜熱()の場合は、乾球温度は変わらずに絶対湿度だけ増加した動きです。これは気温は変わらず湿度が増えた「加湿」の動きになります。

※顕熱()の場合は、逆に乾球温度だけ下がった動きです。これは「冷房」での動きになります。

 

 

エネルギーがわかると何がいいのか?

夏の冷房や冬の暖房の時に必要なエネルギーがわかります。

外気と室内空気の温湿度の差がわかれば、その温熱環境を作るために必要なエネルギー量が空気線図を使って求められるってことなんですね!

 

 

 

 

実際に自分で計算してみる

せっかくなので、現在の私の家の温湿度と、外気の温湿度を用いて変化を見ていきたいと思います!

今日の外気温と室温はこちら!

 外気温():14℃/65%、 室内():25℃/45%

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我が家の今日の空気線図

 

空気線図から、比エンタルピーはそれぞれ外気:30kJ/kg、室内:47kJ/kgなので、必要な比エンタルピーは 47 - 30 = 17 kJ/kgとわかります。

 

ここで例えば住宅の体積を100m3とすると、外気→室内環境に必要なエネルギーは、17×100×1.2 (kg/m3;空気の密度)=2,040 kJ となります。

 

 

今回は顕熱変化なので、エアコンによる加温のみ考えればいいのですが、例えば乾燥してしまう場合などは「加湿(潜熱変化)」も考慮しなければいけませんし、夏場であれば冷房・除湿を考えなければいけません。

 

 

 

顕熱・潜熱はつりあっている

温湿度って様々な要素で均衡をとっているらしく、また夏と冬では同じ操作でも温熱への影響も変わってくるみたいです。

 

まずは夏のパターンから見ていきましょう。

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温熱の均衡(夏パターン

夏の場合は、単純に外気の気温が高いので、顕熱が増加する要因が多いですね。

 

 

 

次に冬のパターンを見ていきます。

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温熱の均衡(冬パターン

冬の場合は逆に、外気が室内環境に比べて低温かつ乾燥状態なので、顕熱を下げる要因が多くなります。

 

 

 

この2つの図を見てみると、こんなことがわかってきます。

外気を室内環境に持ってくるために必要な要素は限られている。そのため冷暖房や除湿のことをよくわかっている必要がある。

 断熱や気密を高めることで外気と室内空間を温熱的に遮断することで、反対に働く顕熱要素を少なくして冷暖房効率を上げられるのでは?

部屋干しと気化式加湿は同じ働き。加湿とともに顕熱を下げるため、冬の加湿はできればヒーター式の方が顕熱負荷は少なくて済む

 

 

 

 

こちらのページが参考になりました!

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

www.bohra.jp

 

 

 

 

まとめ

それでは今回の記事をまとめます!

☆POINT☆
  • 空気線図は温湿度の関係を見えるようにしたもの!
  • 温度しか変わらない顕熱と、温湿度を変化させる潜熱をうまく使い分けよう!
  • 温度は様々な要素で均衡をとっている!
  • これはかなり専門的はお話です。ふーん、程度で十分です。

以上です。

なんとなくでも、家の外中の温熱環境を考えるお手伝いができたら幸いです!

 

 

 

 

今回の記事については、JIN建築工房様にも事前にご確認いただいた上で更新させていただきました。

JIN建築工房様、お忙しいところ本当にありがとうございました。

 

 

(HPはこちらです)

www.jinkenchiku-kobo.com

 

「当たり前をまじめにしっかり考える」

こんな設計事務所工務店が今後どんどん増えていってほしいと願っております。

 

 

 

 

 

ちなみにクイズの答えは…!

A. 「潜熱」

でした~!

 

 

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

 

皆さんが素敵なおうちを建てられますように...